
2006年12月に成立した改正貸金業法。その後、段階的に施行されていき、2010年6月18日に総量規制などの重要な部分を含む、すべての内容が施行されました。
この「総量規制」って言葉は、何となく聞いたことがあるのではないでしょうか?
この総量規制は、いったいどんなものなのか。そして、わたしたちの生活においてどんな影響を与えるのか、といった点について見ていきたいと思います。
総量規制とはどんな規制?
総量規制というのは、簡単に言うと「年収の3分の1を超える貸付はしてはいけませんよ」という法律のことです。
貸金業法という法律で定められていますので、対象は消費者金融や信販会社でのキャッシングです。よく誤解している人がいますが、この総量規制はどんな借金にも適用されるわけではありません。銀行法が適用される銀行、信用金庫法が適用される信用金庫などは対象外です。
総量規制とは、個人の消費者を借りすぎによる生活破綻から守るための法律ですので、その目的に合わないものは除外されています。
例えば個人ではない法人への貸付や、担保が付いているので破綻のリスクが少ない住宅ローンや自動車ローンなどです。そもそも住宅ローンが対象になってしまうと、ほとんどの人はもうそれ以上は借りられなくなるので大変ですね。
おまとめローンについては意外に思うかもしれませんが、おまとめローンはむしろ消費者にとってメリットのあるローンなので、除外されています。
クレジットカードの枠や枚数も影響する?
クレジットカードなどは、ポイントなどの特典があるため、複数枚のカードを使い分けている人もたくさんいます。中には10枚、20枚もクレジットカードを持っているという人もいます。
しかし総量規制後は、クレジットカードをたくさん持っている人に注意を呼びかけるサイトなどが登場しています。実際には、クレジットカードというより、クレジットカードについたキャッシング枠に対する注意であることが多いです。それはなぜでしょうか?
信販会社には割賦販売法が適用されるので関係ないと思っている人も多いですが、実は信販会社であっても貸金業を営む場合には貸金業法が適用されます。
そのため、クレジットカードのショッピング枠には割賦販売法が、キャッシング枠には貸金業法が適用されるというちょっとややこしいことになっています。
例えば、キャッシング枠が20万円のクレジットカードを10枚持っていると、その枠の合計は200万円となり、総量規制の制限にひっかかる可能性が高くなってくるのです。
総量規制後のクレジットカードの使い方
クレジットカードをたくさん持っていると、総量規制の制限にひっかかる可能性が高くなり、消費者金融などでお金を借りる時の審査に影響してくることがわかりました。
でも、心配することはありません。その対策は簡単です。
対策の1つとして、利用していないカードを解約してしまうというものがあります。たとえ利用していなくても、所有しているだけでも「限度額の範囲内ならいつでも借りられる状態」にあるので、借金のうちに計算されてしまいます。
たとえば極端な話になりますが、1億円の限度額があるカードを持っている人がいたら、その人はお金に困ったら1億円を借りて夜逃げしてしまうかもしれないという心配が出てきますね。このようにただ所有しているだけでも審査には影響してくるのです。
もう1つの対策として、クレジット会社に連絡をして、キャッシング枠をゼロにしてもらうか、最小額にしてもらうことです。どうしても複数のカードを使い分けたいという場合には、こちらの方法をとると良いでしょう。
住宅ローンや自動車ローンの審査で有利に!
クレジットカードを整理して枚数を減らしたり、キャッシング枠を減額することには、他にもメリットがあります。
普段から借金をせずに手持ちのお金だけでやりくりしている人はたくさんいると思いますが、そのような人でも家や自動車を一括で購入できるという人は少ないので、住宅ローンや自動車ローンを組むことは避けられないと思います。
クレジットカードのキャッシング枠で借りられる金額を減らしておくことで、この住宅ローンや自動車ローンの審査で有利になるという効果も期待できます。
クレジットカードのキャッシング枠やカードローンというのは、実際に利用していなくてもただ持っているだけで限度額いっぱいまで借りているのと同じ扱いになるという話があります。
金融機関によって扱いは異なると思いますが、住宅ローンのような高額かつ長期のローンでは、わずかな金利の差でも大きな差が出てきます。少しでも有利になるための工夫はしておいたほうが良いでしょう。