最初は「大丈夫、問題なく支払える」と思っていた住宅ローン。しかし、人生が急な局面を迎えたときには、「来月払えない…」という事態に陥ることもあります。

最悪の結末を回避するためにはどうすればいいか?

家族を守るためにも、窮地に陥って藻努めてクールに対処しましょう。

住宅ローンの滞納が続けば家は? 家族の運命は?

短期間の滞納に対する督促は、恐らくは皆さんのイメージしているものと、そう大差ありません。

電話連絡、郵便での督促…それが回を追うごとに少しずつ雰囲気も差し迫った感じになってきて、いよいよ、次の順番で「競売予告通知」などが届けられてきます。

レベル1

競売予告通知(通知時期:滞納から2ヵ月程度

「滞納を続けると、最後には競売にかけられますよ」といった内容の通知です。場合によっては送られない可能性もありますが、その場合も水面下で事態は進行しているのです。

レベル2

代位弁済予告通知(通知時期:滞納から3ヵ月程度

まだ支払いができないようならば、保証会社が代位弁済することになりますよ、という通知です。要するに「早く支払えよ」という意味合いですね。まだ、そこまで危険度は高くありません。

期限の利益の喪失通知(通知時期:滞納から3ヵ月程度

「分割での支払いは受け付けられません。一括で支払ってください」という連絡です。

代位弁済通知(通知時期:滞納から3ヵ月程度

「すでに保証会社が支払いを済ませました。残債と利息を支払ってください」という意味です。ここまで事態が進むと、危険度マックスの手前、というレベルになっています。

レベル3

担保不動産競売開始決定通知(通知時期:滞納から7ヵ月程度

ほとんど事実上の最終通告です。担保である不動産が競売にかけられてしまいます。この通知の到達と同時期に、差押登記されます。つまり、自由な売却ができなくなります。

家が競売にかけられ、実際に買い手がつくまでは8か月程度の猶予しかありません。

落札者が入金を済ませた時点で、それは、もうあなたの家ではなくなってしまいます。どんな理由があっても出ていかなくてはならないのです。もし居座り続けた場合は、落札者も法的な手続きを取って、あなたを強制的に家から立ち退かせます。

「追い出された…でも、これですべて終了か」ではありません。

落札額以上に保証会社に支払うべき債務が残っている場合には、その義務も消えません。支払いができない場合には、究極的には「自己破産」を選択するしかないでしょう。

競売はNO! 任意売却でうまく収める

住宅ローンを支払えずに滞納を続けると、担保である不動産が半ば強制的に競売にかけられる…

最終的にはそういう流れになりますが、その前に「任意売却」という選択も残されています。読んで字の如く、あなたの任意において不動産を売却するという方法です。

「え? でも自動的に競売にかけてもらう方がラクでいいんじゃないの?」

そう思われる方もいるでしょう。しかし競売は、その手続きのすべてを裁判所が行ってくれる代わりに、落札額が、市場価格に対して6割~7割程度にしかならないという問題があります。

また競売情報は、基本的に万人に公開されます。近くに住んでいる人に、「あの人、ローンを滞納しまくって、今、家が競売にかけられてるらしいよ」と噂されることも…。

それに対して「任意売却」には、いくつかのメリットがあります。

なぜ任意売却? そのメリットとは?

相場に近く価格で売却できる

もっとも大きなメリットは、任意売却は競売と比べて、市場相場に近い価格で売却ができるということでしょう。

下手をすると競売と1000万円以上の差が出るので、強制的に競売が始まるのをじっと黙って見ているのは、「愚」以外でのなにものでもありません。

売れるまでは住み続けられる

突然「出て行ってください」と言われることもありません。その物件が売れるまでは生活を続けることができます。周囲の人に悪い噂を流されることもないでしょう。

ただし、「中を見てみたい」という人が現れれば対応しなければなりません。高い値段で売るためにも、部屋は常にきれいに片づけておく必要があるでしょうね。

「任意売却」の方法と流れ

まず任意売却を行うためには、滞納している住宅ローンの債権者の合意が必要です。

「競売ではなく、任意売却していいですか?」と確認し、「どうぞ」という返事を貰わなければならないわけですね。合意を得ることができれば、次の順番で売却を進めていきましょう。

1)業者に住宅の査定をしてもらい、売却額を設定する
2)広告を出して、売却を進める。内覧にも対応
3)買い手が現れた!→契約を結ぶ
4)抵当権抹消の合意を債権者から得る
5)残金の支払い方法について相談。一括or分割
6)所有権を移して、物件を明け渡す

文字で書くとこの程度ですが、非常に煩瑣な手続きが必要とされます。

場合によっては弁護士の助けも必要でしょう。ちなみに、任意売却が認められる期間は、およそ2~3か月程度です。それ以上に及ぶとやはり競売にかけられるので、早めに決着をつけましょう。

まとめ「住宅ローンを滞納してしまったときには…?」

借りている金融機関に相談。親身に相談に乗ってくれます。支払いが止まることが金融機関としても何より痛いので、早い時期に話しにいけば案外、好意的に話してくれます。

競売は絶対にNG! どうしても払い続けられない場合には、任意売却に持ち込む。

執筆者

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■金子ちえ
金子ちえ
21女/金融系企業勤務/
金子ちえです。カードローンやお金に関する情報をお伝えします!