
最近は、なかなか経済的にも厳しい家庭が多いのか、住民税を滞納してしまう人が増えているみたいですね。結果として差し押さえを食らったという話も、よく耳にします。
「いやいや、行政がそんなサラ金みたいな真似しないでしょ(苦笑)」
うーん、どうでしょうか?その考えは、少し甘すぎるかもしれませんね。確かにちょっとした滞納であれば、役所も人情ある対応をしてくれます。しかし滞納の常習者、あるいは長期滞納者に対しては、あるタイミングで容赦なく差し押さえが断行されるようです。
滞納から差し押さえまでの流れを確認
住民税は、「ちょっと滞納したら即差し押さえ」というわけではありません。最初は「督促」からスタートです。ただ、その前に住民税の徴収方法を見てみましょう。
「特別徴収」と「普通徴収」について
住民税の徴収方法に関しては、「特別徴収」と「普通徴収」の2つがあります。
一般的な勤め人は、「特別徴収」です。年間の住民税が、毎月、所得から引かれます。
それに対して、自営業の方に関しては「普通徴収」。一括納付か、あるいは4回に分けての納付か、このいずれかを選ぶことになります。サラリーマンの方も、会社を辞めた後は「特別徴収」から「普通徴収」に切り替わることになるので、注意しましょう。
原則として「特別徴収」の場合は、給与から自動的に引かれるので、無意識に滞納してしまうようなことはありません。問題となるのは、「普通徴収」の方、ということですね。
「督促」が来た時点で支払ってしまおう
一括納付を選択しない場合には、住民税は6月・8月・10月・翌年1月の4回に分けて支払うことになります。この期限までにきちんと支払わなかった場合には、あなたのお住いの自治体から1ヵ月のうちに、「滞納していますよ」と知らせる「督促状」が届きます。
「ああ、忘れていたな。来週払いにいくか」
そうですね、それくらいの感じでも大丈夫です。しかし注意したいのは、法的な決まりから言って、実は「督促状を発行した日から10日経っても納付されない場合は、財産を差し押さえできる」という規定になっていること。つまり、「1週間後に支払おう」という予定が何らかの理由で「2週間後」になってしまったときには、差し押さえの危険アリです。
ただし通常、そんなに早いタイミングで差し押さえが行われることはありません。
大体は職員が家に尋ねて来たり、電話があったり、というワンクッションがあります。さらにXデーの前には「差し押さえ予告書」が届くので、突然押し入られるわけでもありません。
督促を無視し続けると「差し押さえ」
度重なる自治体からの住民税督促を無視し続け、「差し押さえ予告書」が来ても「大丈夫大丈夫」なんて呑気に構えていると、最終的にはほとんど100%、差し押さえされます。
預貯金や給与、さらには不動産、車、生命保険金など、換金性のあるものはすべて持って行かれます。何より給与が差し押さえられるときには勤務先にも連絡がいくので、結構恥ずかしい思いをすることに…。
自営業者は、売掛金の債権も持って行かれてしまいます。
差し押さえを防ぐための方法
住民税の支払いから逃れることはできません。
まだ紙で情報を管理していた昔は役所もずいぶんといい加減な仕事をしていたようですが、最近はパソコンで確実に情報が残されるので、滞納していてもいずれ必ず回収されます。
ただし「差し押さえ」を防ぐ方法は、ないことはありません。
大切なのは、「納税します!」という意思を、役所に対して示すことです。支払いが難しい場合には、具体的に、次のような行動を取ってください。
督促状が届いたら即電話
上でも触れた通り、督促状が届いて10日経つと法律上「差し押さえ」は可能です。早めに管轄に電話して、「納税の意思はあるのですが少し待ってください」とお願いしましょう。
その際、なぜ住民税を支払うことができないのか、具体的な事情を話してください。情状酌量の余地があれば、自治体としてもいきなり差し押さえするようなことはありません。
分割でも支払うと告げる
「誠意」を見せましょう。「分割で支払います」というのは、その最たるものです。
役所もそこまで言われれば「納税の緩和措置」「納税の猶予」などを検討してくれます。こちら側の真面目さが伝われば、「延滞税」を減らしてもらえることだってあるのです。具体的には年率14.6%から4.5%へ。1年~4年程度まで、納税の期間を延長してくれます。
納税は国民の義務です。最近では、マイナンバー制度も敷かれました。今後はますます厳密な管理が行われます。脱税、各種給付金等の不正受給者を、必ず役所は許してくれません。
きちんと収めている人との「不公平」をなくすため、住民税滞納者も地の果てまで追われます。期日までに納められない場合は、とにかく電話して、事情を話してみましょう。