消費税の10%再増税が2017年4月に迫っています。
消費税は、これほど「わかりやすい」税金も珍しいと言われます。納付書が届いて、金融機関やコンビニエンスストアで納める税金と、確定申告や相続の際に納める税金。消費税はそのどちらでもなく、「毎日の買い物」で納める税金です。
それだけ、私たちの生活に最も近い税金、と言えます。その消費税がつい最近3%上がったばかりなのに、更に2%上がるのは、とても大きなことですね。
そして今回、大きな論点となっている「軽減税率」という言葉があります。
軽減税率とは何か。何が10%になり、何が8%のままなのか。議論途中のニュースではありますが、私たちの生活に深くかかわるこの話を取り上げてみましょう。
消費税ってどんな税金?
そもそも、消費税とはどのような税金なのでしょうか。
現在私たちは、100円の買い物に対し、108円を支払っています。このうち、8円が消費税です。支払った消費税は、会社や商店が仕入れの時に支払った消費税を差し引いて、税務署に納付しています。
納付するのはすべての事業者、というわけではなく、一定期間の売上が1,000万円以下の事業者は、消費税の納付が免除されています。
新しく会社(法人)を作った事業者は、会社設立時のお金(資本金)が1,000万円以上の場合、消費税の納付義務があります。
消費税には何に使われているの?
消費税は国の税金のため、「公共施設の運営や国家公務員のお給料」に使われています。
先頃5%から8%に増税された際は、「消費税は年金などの社会保障のお金(財源)として使います」という、より明確化した使い道が説明されました。
2017年の10%への再増税も、同じように社会保障費として使うことが予想されています。
社会保障費の増大は大きな問題
子どもや若者が減り、高齢者が増える少子高齢化や、生活保護の増大。
今日の日本は、この社会保障費の増大が大きな課題となってきました。私たちが一生懸命働いたお給料から天引きされる「公的年金」も、「今の若者が高齢者になったときに貰えないのではないか」という不安も強くなっています。
この社会保障費や年金の再整備に対して、消費税の増税分が使われるのですね。
軽減税率って何?
それでは、この消費税をめぐる最新ニュースのなかで、よく言葉を聞く「軽減税率」とは一体何でしょうか。
軽減税率とは、消費税が10%に増税された際に、「生活に必要なモノ」は、現行通り8%に維持しましょう、という考え方です。たとえば100億円持っているお金持ちと、100万円しか貯金のない方では、同じ消費税を出すのにも「負担感が違い、不公平ではありませんか」という考え方から来ています。
この軽減税率、まさに現在進んでいる途中の話ではありますが、大きな問題が2点あります。
導入の煩雑さ
たとえばスーパーマーケットで、10点の買い物をしたとしましょう。
このうち2点が軽減税率で8%、8点が10%と計算していたら、レジの担当者も大変で、いつまでも買い物が終わりません。レジを改良するとしても、次々と新製品が発売される世の中で、どのように対応していくのか。
そもそもレジの改修費は誰が出すのか、という問題があります。
軽減税率の対象は?
そして、この軽減税率の対象が何か、というのが、いま議論を巻き起こしている大きな問題です。
現在の主な意見では、「生鮮食品」が8%、「加工食品」が10%として、料理をする奥様への負担を下げましょう、という考え方が主導権を握っていると言われます。
「生鮮食品」と「加工食品」
では、少し考えて見ましょう。青森県産のリンゴがここにあります。
リンゴをそのまま販売する場合
これは生鮮食品です。水で洗って丸かじりできます。
リンゴジュース
ジュースを作る会社は増税に反対すると考えられますが、リンゴジュースは加工食品になりそうです。
リンゴを切ってパックした惣菜
これはどうでしょう?リンゴそのままとすれば「生鮮食品」であるし、包丁を入れてパックに詰めた、と言えば「加工食品」になります。
この例のように、「いったいどちらなのか」という商品がとても多く、軽減税率の導入において一番のネックになっています。
女性進出を応援している社会ではないの?
そもそも、今の世の中は女性に働いて欲しい、社会に進出して欲しいという方向で進んでいるはず。
当然夕方までに帰ることはできない。夕飯は加工食品で、という家庭も多いでしょう。その一方、生鮮食品を現行税率にするということは、方向が間違っていないか?という指摘もあります。
「社会に出て、夕方には帰って、生鮮食品で料理を作ってください」。あまりに勝手過ぎますよね。
このように、消費税がこの先どうなっていくのか。とても大きな問題です。注目していきましょう。