
小中学校の給食は、育児と仕事に追われる親にとっては便利なものです。
しかし、同時にその費用が、案外バカにならない額であることも確かですよね。「ちゃんと支払わなければいけないとはわかっているけど…」と、心苦しくも滞納してしまうこともあるでしょう。
現在はあらゆる小中学校で給食費滞納は珍しいことではなくなっています。だから、というわけでもありませんが、いきなり何か強制的な措置を取られることはありません。
しかし、無反省に滞納を続けると少々厄介なことにもなるので、注意したいものです。
一般的な「給食費」の相場は?
最初に確認しておきましょう。給食費の相場について。
そもそも学校給食は、「センターで作っている」「学校の中で作っている」「ご飯だけは自炊で後は業者委託」といった違いがあり、それによって給食費も若干ではありますが変わってきます。しかし相場ということで、1食当たりの全国平均を言うと、230円程度です。
小学校の月額平均給食費…約3950円程度
中学校の月額平均給食費…約4500円程度
*主食・副食・牛乳も用意される「完全給食」の相場
ただ、これはあくまで「給食費」だけの話です。
親が負担するのはこの額ですが、公費負担で、実際には人件費や光熱費、施設の維持管理費、白衣や食器、洗浄機などの設備費もかかり、すべて合わせると1食880円になると言われています。
結構な額ですよね…。
公費負担には感謝しなくてはなりません。それでも「ちょっと今月は厳しいから」という理由で滞納なんて、もってのほか!というものです。あくまで客観的な見方では、ですが。
給食費未納が続くと…その末路は?
全国平均3950円~4500円程度の給食費、滞納が続けば、ではどうなるのでしょうか?
決められた日までに給食費を支払わない場合は、原則として(もちろん例外はアリ)「延滞金」が課せられることになります。いわゆる「利息」という感じですね。滞納している日数の分だけ、年率10%程度。さしたる額ではない、と言いたいですが、5000円足らずの給食費が用意できない家庭にとっては、僅かな延滞金だって堪ったものではないでしょう。
それでも支払いが先延ばしになると、どうなるか?
最悪、裁判沙汰もあり得ます。
「えっ!? まさか。学校に裁判なんてされないでしょ?」
そうですね。学校から訴えられるということは、よっぽどでない限り、ほとんどないと思われます。しかし、最終的には法的措置も辞さないとしている学校はありますし、学校からでなくても、給食センターが本腰を入れて回収に動き出すことはあるのです。
例)鶴ケ島市での給食費未納をめぐる強制執行
滞納期間:2013年10月~2014年7月
未納の給食費合計:4万1811円
約1年間、手紙や自宅の訪問などで再三の支払いを求めたにも関わらず、保護者が面会を拒んだため、最終的に強制執行(差し押さえ)を断行。裁判費用、利息分も含めて、5万6647円が回収された。
ごく近年の話です。
このように、実際に差し押さえされた家庭だってあるのです。決して他人事ではありません。明日は我が身、と思ってきちんと支払うべきでしょう。
「そんなこと言ったって、ない袖は振れない!」
「どうしても払えないんだけど…どうしたらいい?」
そんな方々は、「就学援助」の申請を。給食費が免除される、便利な制度です。
どうしても払えないなら「就学援助」
子どもが学校から貰ってくるプリントを、よく見ておいてください。必ず春頃に、「就学援助に関するお知らせ」がその中に紛れ込んでいるはずです。
就学援助とは、経済的な事情により学校で勉強を受けることが難しい世帯に、地方自治体が小中学校で必要な費用の一部を援助するという制度です。この「一部」には、ほとんどのエリアで「給食費」も含まれています。なかなか充実した制度です。
滞納するくらいなら、ぜひご利用を。ところによっては、医療費が免除される「医療券」が発行されることもあります。
4月に渡されるので、4月中に申し込まなくてはいけない、と勘違いしている方も多いようですが、ほとんどの自治体で年度途中の申請も受け付けてくれます。ただ、就学援助の内容はやはり場所によって異なります。支給範囲、支給額にも違いがあり、現金で貰えるのかどうなのかなど、そのあたりのことも含めて、一度役所に問い合わせてみてください。
給食費が払えないと、子どもにもみじめな思いをさせます。
親としての「責務」、そう言っても過言ではないでしょう。就学援助を利用すれば払えない費用ではありませんし、恥に思わず利用しましょう。また、もし滞納してしまうようなことがあったら、即座に担任の先生に相談を。早めに対応すればいきなり延滞金が課せられるということもありません。
まさか「差し押さえ」まで話が進むこともないと思われますが、世間の目や子ども社会での影響も考えると、多少の滞納も楽観できたものではありません。くれぐれもご注意を。