教育の格差を是正するため、そして少子化対策として、幼稚園就園奨励費補助が見直されています。

平たく言うと、「子どもを幼稚園に入れたい、でもお金がない」という人のために、「幼稚園の無料化」が進んでいるのです。特に、2014年度から開始された制度はドラスティックなもので「第2子を半額に、第3子は無料に」といった内容になっています。

所得制限を撤廃して幼稚園を身近な場所に

あるいはその方面に詳しくなかった方、これからパパママになる方々はご存じでなかったかもしれませんが、これまでも保育園教育に関して、国は積極的な格差の是正に動いていました。

「保育所(保育園)では兄弟姉妹が2人同時に通っている場合には第2子が半額となり、3人通っている場合には第2子が半額、そして第3子が無料」といった制度があったのです。これに関しては「所得制限なし」で、働きながら子どもを育てている家庭には非常に充実した内容となっていました。

それを保育園から「幼稚園」までに広げたのが、2014年度の改革です。

それまでも「就園奨励費補助」として似たような制度は存在していたのですが、その内容はといえば「所得制限あり」で、すべての家庭がこのシステムの恩恵を受けることはできていませんでした。

そこで「幼児教育無償化」実現の第一歩とすべく、「第1子が小学校3年生になるまでは第2子半額、第3子無料」という制度が整えられたのです。事情があり、生活保護を受けている家庭に関しても、そのようなケースでは「第1子からすべて無料化」されています。

政府としては「少子化対策」の意味合いも大きいようですが、これから子どもを作ろうと考えている夫婦はもちろん、すでに子どものいる家庭にとっても素晴らしい恩恵があります。

なぜこのような試みが進んでいるか? ――その発端は、2013年に時をさかのぼります。

子ども・子育て関連3法

2013年に、我が国では「子ども・子育て関連3法」が改正されました。詳しい説明は非常に長くなるのでここでは避けますが、改正された3法は次のものとなっています。

就学前の子どもに関する教育
保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律
子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

これに伴い、2014年からの「幼稚園の無料化」が行われているのです。

また今後、この無料化の範囲はより広くなっていくことが決まっています。「経済的に厳しいから現段階では子どもは育てられない」という家庭もライフプランを練り直すチャンスかもしれません。

なぜ今「幼稚教育無償化」なのか?

少子化という現象自体は、もうずいぶんと昔から問題視されてきたものでした。

しかし政府は具体的な解決案も見いだせないまま、震災の処理に追われたり、外交問題を解決したりと、国内の教育制度に手が出せなかった経緯があります。それが、最近では少しずつ少子化の問題にも、「本気」で取り組み始めているような印象です。

これまでとりわけ深刻なのは、20代の夫婦の「出生率の低下」でした。なぜ若い世代が子どもを作れないか、という問題の原因を考えたときに浮かぶのが、まず、景気が安定しないことでも「若年層の収入の不安定化」です。そして「子育てにはお金がかかる」という事実が、さらに少子化を深刻化させていました。

最近では少しずつ、若年層の雇用事情も安定してきています。

若い人たちのあいだにも、「もしかすると来年は少し給料が上がるかもしれない」「ボーナスがもっと多くもらえるかもしれない」「キャリアアップできるかもしれない」という希望が広がってきているのです。

それに伴い、「子どもは作らずに夫婦だけでのんびりと暮らす」という人生観にも変化が見られてきました。やはり結婚した以上は、子どもが欲しい――そのように考える夫婦が増えてきているようです。

そこで「出生率1.41」という、人口維持にはギリギリの水準を少しでも上げるために、政府としても本格的な「幼児教育無償化」に動き出したというわけです。これが本格的な少子化の改善に繋がってほしいと、そう願わずにはいられません。

「自分には関係ない」とお思いの方も、これから生涯を添い遂げるパートナーと出会ったときには、必ず子どもという存在について考えるときが来るはずです。また、そのような風潮の中で増えた子どもたちが成長すれば、やがて彼らが経済の担い手となり、社会全体の活性化にも繋がります。

幼児教育無償化の広まりは、「今」というこの瞬間だけを見て無視できる情報ではありません。日本の「明日」を考える上でも、非常に重要なことです。

ともあれ、「所得制限」が撤廃されたことで、すべての子どものいる家庭にとって幼稚園がより身近な教育機関となったことは慶賀すべきことでしょう。これから子どもを作ろうと考えているご家庭は、ぜひ、これに関連する情報にはアンテナを立てておいてください。

執筆者

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■金子ちえ
金子ちえ
21女/金融系企業勤務/
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