子どもを持つ親にとって、月々の保育園代は結構厳しいものです。
「でもまあ、ちょっとくらい滞納したって大丈夫でしょ?」
と、甘く考えられている人も多いかもしれません。確かに、「ちょっとくらい」なら問題はないでしょう。しかし、それが度重なり、滞納の期間の長引いてくると、結構恐ろしいことになります。子どもの健全な育成のためにも、優先的に支払っておきたいものです。
滞納の末路 督促状が届く~大体の「許容期間」は?
保育園代を滞納し続けていると、いずれ、市役所の「こども育成部保育課」(自治体によって名称や部署の違いはアリ)から督促状が届くことになります。内容としては、滞納の事実を通知するもので、その時点で支払ってしまえば問題はありません。
しかし、滞納期間が長引いてくると、今度は保育園の園長先生が出てきます。
「あのお…そろそろ保育料の方を」
という、苦々しい口調での「お願い」です。
支払方法についても、「月々いくらでいいから」などの妥協案を提示されます。もちろん最終的には全額支払う必要がありますが、一括で、という無理のある要求はされません。
ここまでの大体の許容期間は、2か月程度です。体験者の意見を総合したところの数字なので、もちろん市によって対応は異なります。ただ、普通に考えてそれだけ待ってもらえればいい方でしょう。この間に支払いを済ませてしまうのが良識ある大人というものです。
さて、ではこういった「穏やかな支払いの督促」を無視すると、どうなるのでしょうか?
給料差し押さえ! 支払うまでは逃げられない
携帯電話に連絡が来るようになると、それは、役所が本腰を入れたというサインです。
頻々と督促状が送られてくるようになり、その書面の内容も、文章的に厳しい表現が増えてきます。それでも支払いを先延ばしにし続けると、3か月目くらいから、「児童手当」から保育料が天引きされるようになります(受給している場合に限り)。
それでも残債があり、それについても支払いが滞っていると、いよいよ差し押さえです。
ある日突然、給与が差し押さえられ、財産も取り上げられて公売にかけられるのです。
また、自治体によっては延滞金が課されることもあります。年率10%程度と、さしたるものではありませんが、それも積もり積もれば相応の額になってしまうので注意しましょう。
保育料は「税金」! 役所を怒らせないこと
認可保育園を管轄・運営しているのは、市町村です。つまり、保育料は税金。もっと正確にいえば、「地方税」という扱いになります。
保育料を滞納するということは、税金滞納とまったく同じなのです。「ちょっとくらい」という気持ちで放置しておくと、痛い目に遭うこともあります。
督促から差し押さえまでの期間は?
滞納が続くと、最終的に差し押さえが断行されるのは、どの自治体でも一緒です。
しかしそのタイミングに関しては、地域ごとに異なります。上の例のように2ヵ月以上待ってくれて、3か月目以降に突然!というケースもあれば、もっと早く差し押さえられることもあります。
ただ基本的な決まり事としては、保育料滞納から約20日程度で、「督促状」が送られてきて、その後も支払いがない場合は、10日後(つまり滞納から30日後)には差し押さえが可能ということになっています。
しかし、実際に1ヵ月程度しか猶予期間を持たず、いきなり差し押さえするということはほとんどありません。
役所もそのへんは人間的な対応をしてくれます。電話、書面での通知などを通して何度か督促して、「この人には支払う気がまったくないみたいだ」と判断されたときに、予告のあと、いよいよ差し押さえが行われることになります。
一概に「これだけの期間滞納するとアウト」ということは言えませんが、2~3か月程度なら、まだ大丈夫かも。しかし、半年近くなってくるといつやられてもおかしくない、という感じでしょうか。
裁判所が介在して行われる差し押さえと違い、自治体が自ら債権回収に乗り出すという形での差し押さえは、本当に恐ろしいものがあります。「銀行口座からある日突然お金が消える」ということもあるのです。たかだか保育料の滞納が、そんなホラーも招くのです。
ちなみに差し押さえは「金目のもの」から優先的に行われることになります。
預金が差し押さえられる程度ならばいいですが、何より恥ずかしいのは、給与が差し押さえられるということですね。「あなた、保育料も払ってなかったの?」と会社の人に知られてしまうのは、たまらない恥辱です。
減免制度も利用して確実に支払おう
最後に、保育料の減免制度についてお知らせしておきます。
以下のような理由で保育料の支払いが難しくなった際には、役所も無理に「全額を払え」とは言いません。一部、減額してくれます。滞納するよりはずっとマシなので申請を。
保育料の減免が認められる例
収入減(失業、退職、給料ダウンなど)
大病による医療費などの大きな出費があった場合
兄弟が保育所に入る場合
災害や事故に遭って、支払いが困難になった場合
離婚などにより、世帯員の構成が変わった場合
ざっとこんなところです。ただ、この条件も自治体によって変わるので要確認です。