介護が必要な人の割合について
「介護」という言葉を知らない人はいないというほど一般的ですが、今現在、介護をしているという方はそれほど多くはないのではないでしょうか。
介護が必要な人(要介護状態)の割合は65~69歳では約3%ですが、80~84歳になると約30%、85歳以上では約60%にまで上がります。一方、平成24年統計の平均寿命は男性が79.94歳、女性が86.41歳で、男性が世界第5位、女性は世界第1位です。
このような長寿大国である日本において、現在介護とは無縁の生活でも、いずれ親が高齢者になったら、または自身や配偶者が介護状態になるということが高い確率で存在するのです。
しかし「介護」は実際どのようなことをして、どのような制度があるのか、そして介護費用がどのような項目でどのぐらいかかり、どのような助成金制度があるのかといったことまでを把握している人は少ないというのが現状です。
介護保険で受けられること
介護費用として必要になるのは、大きく分けると介護保険による介護サービスにかかる費用とオムツなど介護生活に必要な日用品や医療費など介護保険適用外のものです。
介護保険とは、65歳以上で介護認定を受けた人が費用の1割負担で介護サービスを受けることができ、要介護度の重さにより受けられる助成金が変わります。
介護サービスの内容は在宅の場合は訪問介護や訪問看護、訪問入浴や訪問リハビリ、介護施設に通うデイサービスや通所リハビリ(デイケア)、短期で施設に宿泊できるショートステイなどがあります。
また、介護保険の範囲で特別養護老人ホームなどの施設で介護やリハビリを受けながら生活を送ることもできます。民間の有料老人ホームに入居しながら介護保険の範囲内で訪問介護などを受けることもでき、また、車いすや入浴用のイスなどの指定された介護用品を1割負担で購入することもできます(上限あり)。
在宅介護の場合の介護費用
では、在宅介護を受ける場合の介護費用はどのぐらいかかるのでしょうか。
介護サービス利用料とそれ以外にかかる日用品や医療費とに分けると、介護サービス利用料の平均が3.7万円、それ以外のものにかかる費用が3.2万円、総額6.9万円が月々の平均となっています。
平均の金額は6.9万円ですが、要介護度が上がるにつれてその金額は高くなります。例えば、要支援1(要介護の前の段階)の平均は総額で2.8万円ですが、要介護5の平均は10.7万円となります。
ただし、このうちの3割は「高額医療・高額介護合算療養費制度」を利用していると言われています。
世帯収入により基準が変わりますが、平均的な収入の家庭の場合ですと医療費・介護費の自己負担額が年間で60~70万円を超えた分は申請すると支給されます。
そのため、実際の支出額平均は6.9万円よりは低くなると考えられます。
施設に入る場合の介護費用
「施設」とは生活の介助を行う介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や医療やリハビリが必要な人のための介護老人保健施設、介護療養型医療施設など分類が分かれており、その要件を満たした人のみ入ることができます。
施設に入る場合は、施設サービス費の1割負担、食費・居住費(部屋代、光熱費)、日常生活費が毎月かかります。
施設サービス費は要介護度や施設の形態、部屋の形態(個室か多床室か)により異なりますが、特別養護老人ホームの場合は547円~894円/日です。
最もお金のかからない公的な施設で月々かかる費用は7~15万円とされています。
民間の老人ホームの場合は施設により設備やサービスが異なるため、12~40万円(入居一時金は別)と月々かかる金額の幅も広くなっています。
公的施設はどこも混んでいて、特に都市部はなかなか入れないという現状があります。そのため、在宅介護をしながらショートステイで施設に数泊するという、在宅と施設を併用する人も増えています。