「えっ!?このタイミングで…」
こんな感じで思いがけなくやってくる出費ってありますよね。
ただ、今、借入れしているところは限度額いっぱいまで使っているから、別のところで新規で借入れの申込みをしたら、あっさりと審査に落ちてしまった…
こんな経験したことありませんか?
原因としては、いろいろ考えられるのですが、おそらく総量規制に引っかかって審査に通らなかったのではないでしょうか。
つまり、借り過ぎということです。
借り過ぎや貸し過ぎを防ぐために設けられた規制があるのですが、意外と理解していなかったり、間違った解釈をしていたりする方がいらっしゃいます。
ここではその規制について、分かりやすく説明していきたいと思います。
総量規制とはなにか?
2007年から段階的に施行され、2010年に完全施行された改正貸金業法において、過剰貸付け等の禁止として年収の3分の1を超える貸付けを原則禁止にしました。
年収が300万円の人が貸金業者から借入れできる金額は100万円が上限と定められました。これは1社だけでなく、複数の業者からの借入れであっても、その合計額が100万円を超えると借入れが制限されるといったものです。
それ以外に、借入金額(残高)によって収入を証明する書類が必要になります。これに関しては下の図をもとに説明していきたいと思います。
50万円を超える借入れを希望する場合は、源泉徴収票や所得証明書といった収入を証明する書類を提出しないといけません。
これは1社からの借入れの場合になります。では、複数社から借入れをする場合はどうなるのでしょうか。
例えば図のように、A社で50万円、B社で30万円をすでに借入れしている状態で、さらにC社に借入れを申込んだとします。
申込金額が30万円だった場合、既存の借入金額と合計すると110万円となりますので、新たに借入れを申込んだC社から収入を証明する書類の提出を求められることとなります。
また、限度額の範囲内であれば何度でも借入れができるような「極度方式」にて契約している場合、業者は途上与信審査を行うことが義務付けられました。
1ヶ月の貸付けが5万円以上、かつ貸付残高が10万円を超える場合は毎月途上与信審査が行われ、それ以外で10万円を超える貸付残高がある場合は3ヶ月毎に途上与信審査が行われるようになっています。
この審査の結果、年収の3分の1を超えている場合は限度額が減らされたり、新規の貸付けが制限されるといったことがあります。
年収の3分の1を超えると新規で借入れはできないの?
先述したように、年収の3分の1を超える「個人向けの貸付け」を受けることはできません。
ただ、これには除外されているものと例外とされているものがあります。
貸金業法施行規則第10条の21 第1項に規定される除外となる貸付け
- 不動産の建設・購入または改良のための貸付け(つなぎ融資・借地権取得に必要な資金含む)
- 自動車購入時の貸付け(オートローン)
- 高額医療費の貸付け
- 有価証券を担保にした貸付け
- 不動産を担保にした貸付け
貸金業法施行規則第10条の23 第1項に規定される例外となる貸付け
- 当該貸付けの残高が段階的に減少することが見込まれる貸付け
- 緊急に必要と認められる医療費の貸付け
- 配偶者の年収等を合算した額の3分の1以下となる貸付け
- 個人事業者に対する貸付け
以上のような貸付けに関しては、除外または例外として扱われます。簡単に言うと、住宅ローンや自動車ローンといったものですね。
上記のような借入れであれば年収の3分の1を超えていても新規で借りることは可能です。
よく、申込み時に現在の借入金額の合計を少なめに申告する方がいらっしゃいますが、これはすぐにバレるのでやめておいた方がいいでしょう。
申込みを受けた業者は、まず信用情報機関へ照会を行います。
そこで、何箇所からどれくらい借り入れしているか、返済状況はどうなっているかといった情報が確認できるようになっているので、嘘の申告をしても全く意味が無いというわけです。
仮に、借入の申込みをした段階で年収の3分の1を超えていないとしても、嘘の申告をしたということが分かった時点で審査に何らかの影響を与える可能性があるので、現状をありのまま申告してください。
銀行カードローンは別の法律が適用される
先ほどの項目で書いた内容はあくまでも貸金業法上の話です。
プロミス、SMBCモビットといった貸金業登録をしているところからの借入れができないといったものですが、これが銀行カードローンになると話は別になってきます。
なぜ銀行は別なの?
結論から言うと、適用される法律が違うということです。
銀行は銀行法という法律により定められた設立・業務などの内容に則って運営されています。つまり、貸金業法で定められた総量規制が銀行には当てはまらず、総量規制対象外の貸付けになります。
ですので、もしプロミスなどの貸金業者から年収の3分の1といった金額の借入れをしていたとしても、銀行カードローン等では借入れすることが可能というわけです。