最近ではその存在も消費者金融の影にかすんでいますが、「質屋」は今でも現存しているのをご存じでしょうか?

換金性のある品を持っていけば、お金を借りることができます

無担保、無保証人のキャッシング業者が現れてからは、その影響で質屋の淘汰が進んでことも確かです。ただし、有名店として「大黒屋」などは今でも経営は絶好調。消費者金融から借りられないときには、質屋を利用してお金を借りてみてはいかがでしょう?

質屋とキャッシングの違いは何か?

そもそも今の若い人たちは、「質屋」というお店が何かもよくご存じでないかもしれませんね。

質屋とは、ある物(現代では主にはブランド鞄や時計など)を持っていくと、その品の価値に準じたお金を貸してくれるお店です。期日までに、利息を含めたお金を返すとその品は手元に戻ってきます。しかし、返済できない場合は、質屋に出した物はそのまま売却されてしまいます。これを「質流れ」と言い、その代わりに債務はなくなるという仕組み。

ここで、キャッシングとの違いについて考えてみましょう。

そうです、もっとも大きな違いは、「担保が必要かどうか」という点ですね。質屋では預ける物を担保に、それに見合った額を貸してくれます。対してキャッシングは担保なしで「信用貸し」してくれるのです。

また、質屋とキャッシングでは「借りたお金の返済に対しての督促も異なります。

原則として質屋では担保を預かっているので、返済が遅れたとしても督促が一切ありません。質流れまでの期限はおよそ3か月で、それまでに返済がなければ担保の所有権が質屋に移るのです(利息を払えば延長も可能)。

対してキャッシングは無担保で貸している分、返済が遅れた場合には督促が来ることになり、最悪の場合は「差し押さえ」まであり得ます。

このあたりが質屋とキャッシングの基本的な違いでしょうか。

ただ、他にも次に挙げるような違いがあります。とりわけ「金利」に関しては要注目!

信用情報機関への情報記載

キャッシングを利用して返済が滞った場合には、業界内で共有されている信用情報機関にキズがついてしまいます。

いわゆる「ブラックリスト入り」ということですね。そうなるとしばらくの間(5年程度)は消費者金融や銀行からお金を借りられません。ローンも組めなくなるので、かなり生活が制限されます。車も家も、一括でしか買えないのです。

対して質屋では、仮にお金を返しきれずに質流れになっても、信用情報とは無関係です。

「利息」はキャッシングが圧倒的に低い

質屋もキャッシングも、一応は同じ「金融業」ではあります。

しかし、金利はまったく違います。というのも質屋は他の金融業者とは別の「質屋営業法」に基づいて商売をしているのです。そこでなんと、年利109.5%までの設定が許されています。キャッシング業者が賃金業者で年利20%までと決められていることを考えると、実に5倍の開きです。

ただ、実際のところは年利36%~程度に落ち着いていますが、それでも消費者金融と比べるとかなりの違いがあります。

なぜそんなに金利が高いのか?

それは、「担保を厳重に保管しなければならないこと」「担保の鑑定が必要であるため」「預かった担保が盗品の可能性もあり、場合によっては警察の協力が必要であること」などが理由とされています。

改正賃金業法を根拠に「高すぎるのではないか」と問題視する声も挙がっていますが、最高裁での判例も分かれており、今後の変化はあり得るかもしれませんが現状はこの通りです。

こんな人には「質屋」がおすすめ!

では、これまでに見てきた質屋とキャッシングの違いを踏まえて、「こんな人は質屋を利用した方がいい!」という点をまとめてみましょう。デメリットも同時に考えておきます。

信用情報機関に記録を残したくない人

金貸し、消費者金融という業者に何となく不信感を持っている人には、質屋は少々カジュアルな存在で、利用しやすいかもしれません。質流れになっても延滞記録は残りません

あるいはすでに信用情報にキズが付いている人も、質屋は便利に使えるでしょうね。

督促、取り立てが嫌な人

質屋の返済期限は、原則として3か月までです。その間、取り立てや督促は一切ありません。間違っても「支払え」と言われることはないので、そこに関しては安心してOKです。

質流れになれば自動的に債務はなくなるので、無担保の信用貸しと違って気が楽ですね。

売るのはもったいないけど、価値ある品が手元にある!

質屋で借りる以上、「質」となる品は絶対に必要です。「売るのはもったいないけれど、預けるならいいか」という方は、オークションでも買い取り店でもなく、質屋を利用してお金を作れば便利でしょう

以下、デメリットについての詳細です。

上限金利がキャッシングの5倍

これは手痛いところですね。質屋に預けると、どんどん利息が膨れていきます。必ず返せるという確証があるならば、キャッシングを利用した方がいいかもしれませんね。

「質」がなければ利用できない

「もう信用貸しはしてもらえないから、質屋を使おう」という人も、根本的に「質」がなければ質屋はお金を貸しません。無担保で借りたいなら、キャッシングしかないのです。

いかがでしょうか? メリット、デメリットを考えて質屋を利用すべきかどうか、吟味してみましょう。「質流れ」を前提に借りるならば、売った方がいい場合もありますので…

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■金子ちえ
金子ちえ
21女/金融系企業勤務/
金子ちえです。カードローンやお金に関する情報をお伝えします!