自動車ローンは往々にして高額です。ボーナス月ともなれば、10万円以上の金額になることも。最初は悠々と払える見込みだったローンも、突然支払えなくなる事態は決して珍しくないでしょう。

滞納が続けばどのようなことになるのか、知っておいて損はしません。

自動車ローン滞納の末路~引き上げまでの流れとは

その他のローンと違って自動車ローン滞納の末路には、「引き上げ」が待っています。

すべての残債を支払うまで、名義上、車はローン会社の物なので、あまりに滞納が長引くと取り上げられて売却されてしまうのです。

もちろん、数日遅れたくらいでは問題にはなりません。では、具体的にどれだけ滞納するとマズイのか。「引き上げ」までの流れを六段階に分けて見ていきましょう。

1)引き落とし日を過ぎる→督促郵便

自動車ローンの支払いは、大体は銀行口座からの引き落としです。

その日になって引き落とせるだけのお金がないときには、まず、自宅に督促の郵便が送られてきます。滞納の常習者でない限り、この時点では電話はかかってきません。

ただし、滞納した日数分の「遅延損害金」が18%前後かかってくるので、当然、最初の引き落とし日と再引き落とし日の額は、微妙にですが異なることになります。

2)再引き落とし日を過ぎる→電話での督促

督促に書かれていた再引き落とし日を過ぎると、電話での督促が来ます。

自宅、携帯電話にかけてもつながらない場合は、勤務先に連絡が来ることもあります。連絡の内容としては、「再々引き落とし日までにお金を準備してください」というものです。

3)再々引き落とし日を過ぎる→引き上げが示唆される

いよいよ、少々怖いことになってきました。

再々引き落とし日にも振り込みがない場合には、ローン会社から電話、あるいは郵便で、車を引き上げるかもしれませんよ」という連絡が来ます。「車をお預かりすることになりますよ?」という言い方をされることも多いようですが、要するに、支払わないなら引き上げますよ、という示唆ですね。

4)滞納から1カ月→引き上げの約束

もし翌月の引き落としにも間に合わない場合は、ローン会社も本腰を入れて督促します。

「いつまでに支払えますか?」
「もしその日までに支払えない場合は、*月*日には車を引き上げますね」

少々強めの口調で、日時の約束まで結ばせます。ハッタリではなく、「本気」です。

5)車の仮引上げ

電話で約束した期日までに支払えなかった場合には、実際に車が引き上げられます。

しかし、これはあくまで「仮の引き上げ」です。売却されるのは、滞納から2ヵ月過ぎてからです。その日までに何とか支払うことができれば、車は戻ってきます。

ちなみに、車の引き上げ費用に関しては、多くの場合は別の業者が代行するため3万円程度かかります。もしそのまま売却という流れになると、負担するのは車の使用者。ただし何とか滞納分を払うことができれば、ローン会社が負担してくれることが多いようです。

6)滞納から2ヵ月→引き上げられた車が売却される

2ヵ月払えないと、その時点で90%はアウトです。ローン会社によって引き上げられた車が売られてしまい、二度と手元には戻ってこなくなります。

ただし、2ヵ月を過ぎて、売りに出されるまでのぎりぎりのタイミングで滞納分を一括で支払えれば、車が戻ってくることがあります。

ただ、ここまで話が進むと信用情報にもキズがつく可能性があります。「延滞」の記録がついてしまうと、今後5年程は新しくローンを組んだり、お金を借りることができません。

もちろん、売却額で残債を支払いきれないときには、債務が残ります。新しくローンを組み直す方もたくさんいるようです。債務整理に踏み切る方も決して少なくはありません

滞納のピンチが迫ったらどうすればいい?

支払いが滞って2ヵ月経てば、ほとんど問答無用で車は引き上げられてしまうので、それまでに何とか手を打つ必要があります。地方にお住いの方であれば、車がなければ生活に非常な不便も出てくるでしょう。

どうにか引き上げをかわすためには、まず考えられるのは、両親や、親しい人にお金を借りることですね。あるいは、副業。もし可能であれば、どうにか引き上げだけは防ぐために、低金利のカードローンを利用するのもありでしょう。

そういった一般的なこと以外で「引き上げをかわすための策」としては、やはりローン会社との交渉――これしかありません。仮引き上げされたときにも、「どうにかして支払うから**日まで待ってくれ」と言えば、ローン会社も案外、人情ある対応をしてくれます。

例外的な話ではありますが、自動車ローンの残債を残したまま契約者が亡くなってしまった場合には、法定相続人に督促がいくことになります。ただし、これは「相続放棄」することで逃げられるので、お忘れなく。案外、そういう場合でも「身内の者が買ったものなので最後までお支払します」という方も多いようですが…。

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■金子ちえ
金子ちえ
21女/金融系企業勤務/
金子ちえです。カードローンやお金に関する情報をお伝えします!